
着物のLLサイズはどのくらい?



着物のLLサイズは洋服のLLサイズと同じ感覚?
親御さんから譲り受けた着物や、リサイクル着物のタグに「LL」と書かれていても、自分に合うサイズかどうかはすぐには判断しにくいものです。
着物は洋服とは違い、身丈・裄丈・身幅など複数の寸法を見て判断する必要があります。
表記サイズだけで決めてしまうと、「思っていたより大きい」などといったことが起こる可能性があります。
本記事では、「着物のLLサイズ」について徹底解説。
LLサイズの寸法や、自分に合うかを見分ける方法まで紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
着物のLLサイズには2種類ある


洋服のLLサイズと、着物のLLサイズは同じ基準ではありません。
着物のLLは、一般的に「高身長の方向け」と「身幅にゆとりを持たせた方向け」という、2種類で考えられます。
まずは、どのようなLLサイズなのかを見極めることが大切です。
高身長の方向けLLサイズの寸法
高身長の方向けLLサイズは、縦方向(身丈・裄丈)を長めに取った設計です。
ヒップは標準的でも、身長が高い方が着やすいように作られています。
| 寸法項目 | 高身長向けLLの目安 |
|---|---|
| 適応身長 | 168〜176cm程度 |
| 身丈 | 約166cm以上(身長とほぼ同程度) |
| 裄丈 | 約72cm |
| ヒップ目安 | 98cm未満 |
※裄丈(ゆきたけ):首の後ろから肩を通って手首までの長さの目安 身丈(みたけ):肩から裾までの長さ
このタイプは、横幅よりもまず「長さが足りるか」を確認したいLLサイズです。
身幅にゆとりを持たせたLLサイズの目安
こちらは、身幅やヒップまわりに余裕を持たせた設計です。
身長は標準的でも、横幅にゆとりが必要な方向けのLLと考えるとわかりやすいでしょう。
洋服のLLとは基準が異なるため、洋服サイズだけで判断しないよう注意が必要です。
| 寸法項目 | 身幅ゆったり向けLLの目安 |
|---|---|
| 適応身長 | 153〜163cm程度 |
| 身丈 | 163〜170cm程度 |
| 裄丈 | 68〜71cm程度 |
| ヒップ目安 | 100cm前後 |
| 前幅 | 29.5cm程度 |
| 後幅 | 33〜33.7cm程度 |
※前幅・後幅:身幅を判断するときに見る寸法 身幅:腰まわりやヒップまわりのゆとりに関わる部分
こちらのタイプは、身長よりもヒップまわりに対して余裕があるかを優先して確認するのがポイントです。
どちらのLLサイズかを確認する方法
2タイプのLLサイズのどちらを確認すべきか、以下の手順で判断していただけます。
- 身長が168cm以上の方 → 高身長向けLLをチェック
- ヒップが98cm以上の方 → 身幅にゆとりを持たせた方向けLLをチェック
- 両方に該当する場合 → 裄丈を優先的に確認する
お手元の着物に寸法票が付いている場合は、そちらに記された実寸をご確認ください。
寸法票とは、着物の仕立て時に記した各部の実測値を記したタグです。
寸法票があれば、ご自身の寸法と照合する際に最も確実な判断ができます。
自分の着物サイズを測る3つのポイント


着物のLLサイズが自分に合うかどうかを確認するには、まずご自身の「身丈・裄丈・ヒップ」の3つを実測することが大切です。
メジャーがあれば自宅でも確認できます。
身丈の測り方と目安
身丈は、着物の肩から裾までの縦の長さです。
女性の着物では「おはしょり」を作りますので、身丈が身長よりも5〜15cm程度長くなるのが一般的です。
身丈の適正範囲は「身長±5cm以内」とされています。
これは、おはしょりを適切な幅(10cm前後)で作るために必要な目安です。
身丈が身長より10cm以上長い場合は着付けの工夫が必要になりますが、完全に着られなくなるわけではありません。
親御さんから譲り受けた着物の場合は、着物を畳の上に広げて、肩から裾までの長さを実測してみてください。
裄丈の測り方と目安
裄丈は着物サイズの中でも最も優先してご確認いただきたい寸法です。
袖口から手首が見えるか、肩の縫い目がズレて見えるかなど、着姿に直接影響いたします。
裄丈の測り方は、以下の手順でお試しいただけます。
- まっすぐに立ち、腕を軽く横に伸ばす
- 首の後ろの付け根(背骨の出っ張り部分)から、肩の頂点を通り、手首の骨の出っ張りまでをメジャーで測る
- 測った長さが「自分の裄丈」の目安となる
裄丈の許容範囲は±3cm以内とされています。
3cm以内であれば、着付けの工夫でほぼ違和感なくお召しいただけます。
4cm以上の差がある場合は、お直しを検討されることをおすすめします。
身幅の確認式
身幅は「前幅」と「後幅」の合計で構成されます。
ご自身のヒップサイズを使って、必要な身幅の目安を計算することができます。
前幅 +(後幅 × 2)+ 13cm ≒ ヒップサイズ
例:ヒップ96cmの場合 → 前幅23〜24cm・後幅29〜30cm 程度が目安
お手元の着物の前幅・後幅を実測して、上記の式に当てはめてみてください。
計算結果とご自身のヒップサイズが5cm以上離れている場合は身幅のお直しが必要になる可能性があります。
差が5cm以内であれば着付けで対応できることがほとんどです。
着付けで調整できる範囲を確認する


「少し合わない」と感じる着物でも、着付けの工夫で多くの場合はお召しいただけます。
着付けで調整できる範囲を知ることで、諦めていた着物を活かすきっかけになります。
おはしょりが長い場合の調整
身丈が身長より5〜10cm以上長い場合は、おはしょりが長く出すぎてしまうことがあります。
そのような場合、以下の手順で調整が可能です。
- 胸紐を結ぶ位置を通常より少し高め(胸元)にする
- 余分なおはしょりを内側に折り上げる
- 伊達締めで全体をしっかり抑え、崩れを防ぐ
伊達締め(だてじめ)とは、着物の胸元から腰にかけて締める細い帯のことです。
胸紐の上からさらに締めることで、おはしょりの形を安定させる役割を担います。
身丈が身長より10cm以内の差であれば、着付けで十分対応可能なケースがほとんどです。
身幅が余る場合の処理
身幅が自分のヒップより広い場合は、下前(したまえ)を折り返すことで調整できます。
下前とは、着物を合わせたときに内側(右側)に来る前身頃のことです。
手順としては、まず下前を左の太もも側に軽く折り返し、余った布を内側に収めます。
次に背中にシワが出る場合は、シワを脇に寄せて縫い目に押し込むようにします。
最後に帯を締めることで全体を押さえ、すっきりとした着姿に整えることができます。
着付け経験が少ない方は、着付け教室の体験レッスン等でプロの方にご指導いただくと、より安心してお試しいただけます。
裄丈が短い場合のカバー術
裄丈が短い場合は、いくつかの着付けの工夫でカバーすることが可能です。
ただし、裄丈が5cm以上短い場合は着付けのみでのカバーに限界がありますので、お直しの検討が必要になります。
- 衣紋(えもん)を多めに抜く:背中の衿を後ろに引いて首を長く見せる着付けの工夫。袖が手首側に引っ張られ、裄丈の不足を自然にカバーできる
- 半衿(はんえり)を多めに見せる:長襦袢(ながじゅばん)の衿を少し広めに見せることで、視覚的なバランスを整える
- 広衿(ひろえり)の折り方を調整する:衿の幅を調節することで、肩から袖口にかけての見え方を変えることができる
裄丈の差が3〜4cm程度であれば、上記の工夫で着こなせる場合が多いです。
差が5cm以上の場合は、裄直し(ゆきなおし)のご検討がおすすめです。
着付けで難しい場合はお直しを検討する


着付けの工夫だけでは対応しきれない場合は、「お直し」という選択肢があります。
費用はかかりますが、長く大切に着物を活かしたい場合は検討に値する方法です。
裄直しの内容と費用目安
裄直しとは、裄丈を短くする(裄詰め)か、長くする(裄出し)ための仕立て作業です。
着物の袖と身頃の縫い合わせを解いて、縫い直す工程となります。
| 着物の種類 | 裄直し費用目安 |
|---|---|
| 袷(あわせ)の着物 | 約10,000円〜 |
| 単衣(ひとえ)の着物 | 約9,000円〜 |
なお、縫い目の跡が残ってしまう場合はスジ消し(縫い目跡を消す作業)が別途必要になることがあります。
お見積りの際に合わせてご確認ください。
一般的に袷の方が工程が多くなるため、費用が高くなる傾向にあります。
身丈直し・身幅直しの費用目安
身丈や身幅のお直しは、裄直しよりも工程が増えるため、費用も高くなります。
以下が主なお直しの費用目安です。
| お直しの種類 | 費用目安 |
|---|---|
| 身丈直し | 約14,000〜15,000円 |
| 身幅直し | 約14,000〜15,000円 |
| 仕立て直し(洗い張り+縫い直し) | 約32,000〜70,000円程度 |
仕立て直し(洗い張り+縫い直し)とは、着物を一度全て解いてから生地を洗い、新たに仕立て直す最もオーソドックスなお直し方法です。
費用は大きくなりますが、寸法を全面的に自分のサイズに合わせ直すことができます。
お直しを依頼できる場所
着物のお直しは、以下のような専門業者にご依頼いただけます。
| 依頼先 | 特徴 |
|---|---|
| 悉皆屋(しっかいや) | 着物のお手入れ・染め・お直し全般を請け負う着物専門の職人店 |
| 着物クリーニング専門店 | クリーニングと合わせてお直しを依頼できる店舗が多い |
| 呉服店のお直しサービス | 着物を購入した呉服店で相談できる |
| ネット宅配クリーニング・お直しサービス | 全国どこからでも利用可能 |
どうしてもお直しの費用負担が大きい場合や、着る機会がない場合は、状態の良いうちに着物買取専門業者に相談するという選択肢もあります。
着物 LLサイズに関するよくある質問


ここでは、着物 LLサイズに関するよくある質問に回答していきます。
着物のLLサイズがどのくらいか、「高身長向け」か「身幅にゆとりを持たせた方向け」かわからない場合は?
まず「適応身長」と「ヒップサイズ」の2点で判断してください。
身長が168cm以上の方は高身長向けLLを、ヒップが98cm以上の方は身幅にゆとりを持たせた方向けLLをご確認ください。
どちらにも当てはまる場合は、裄丈を優先的にチェックする方法が最も確実です。
お手元の着物に寸法票が付いている場合は、そちらの実寸をご確認ください。
着物のLLサイズはどのくらいのヒップサイズまで対応できますか?
身幅にゆとりを持たせた方向けLLの場合、一般的にヒップ100cm前後が目安となります。
それ以上の場合は、特注(オーダー)または仕立て直しのご検討をおすすめします。
リサイクル着物や親御さんからの譲り受け着物の場合、ヒップ計算式(前幅+後幅×2+13cm)で実際の身幅を確認することが大切です。
親から譲り受けた着物に「LLサイズ」の表記があります。私(身長160cm)に合いますか?
身幅にゆとりを持たせた方向けLLであれば適応身長が153〜163cm程度ですので、身長160cmの方はおおむね合います。
ただし、裄丈が±3cm以内かどうかを実測して確認することがおすすめです。
お手元の着物を畳の上に広げて、肩山から袖口までを実測し、ご自身の裄丈と照合してみてください。
着物のLLサイズがどのくらいまでなら着付けの工夫でカバーできますか?
身丈は身長±10cm程度まで着付けで調整できます。
裄丈は±3cmが着付け調整の目安で、それ以上短い場合は裄直しの検討が必要です。
身幅は帯を締めることで、ある程度広め・細めに対応できます。
着付けで調整できる範囲の詳細もあわせてご確認ください。
LLサイズの着物がどうしても合わない場合、処分以外に方法はありますか?
状態が良い着物であれば、「買取」という選択肢があります。
バイセルをはじめとする着物買取専門業者は、状態の良い着物であればLLサイズでも買取対象となることが多く、タンスで眠らせるよりも次の着物愛好家へと受け渡すことができます。
また、お直しをすることで、着物を自分のサイズに合わせて長く着られるようにする方法もございます。
着物のLLサイズはどのくらいか確認して、お手元の着物を活かしましょう
本記事では、着物のLLサイズについて、高身長向けと身幅にゆとりを持たせた方向けの2タイプに分けて解説しました。
- 着物のLLサイズには、高身長向けと身幅にゆとりを持たせた方向けの2タイプがある
- 判断するときは、身丈・裄丈・ヒップの3点を実寸で確認する
- 少しの差であれば、着付けで対応できることもある
- 差が大きい場合は、お直しを検討する
- 活かしきれない場合は、買取も選択肢になる
着物のLLサイズがどのくらいかを把握した上で、お手元の大切な着物を諦めずに活かしていただければ幸いです。
「もう少しで着られそう」という着物であれば、ぜひ着付けの工夫や専門店へのご相談を試みてください。
一枚一枚の着物に込められた歴史や想いを、どうか次の世代へと繋いでいただけますようお願いいたします。


